1998年5月2日、享年33才で永眠――。
東京・築地本願寺で葬儀が執り行われた際には、これから世界へ向けて羽ばたくであろうその才能を5万人のファンが惜しんだ姿が、今だ記憶に新しい。
そんな、日本の音楽シーンへ輝かしい名を刻んだアーティスト・hideのソロ活動20周年&生誕50周年を記念した様々なプロジェクト“hide ROCKET DIVE 2013-2014 20th of solo works & 50th of birth anniversary”が動き出している。
まずは、hideの故郷・横須賀にかつて開館した『hide MUSEUM』が、6月29日(土)~7月28日(日)に東京、大阪で新たな形で8年ぶりに復活する。ここではhideの様々な貴重なアイテムも公開されるという。1stソロアルバム『HIDE YOUR FACE』のレコーディング時からhideが愛用したメインギター、Gibson Les Paul Standerd(1959年製) 。同じく『HIDE YOUR FACE』のジャケットを強烈なインパクトで飾った、映画『エイリアン』の美術制作等で有名なH・R・ギーガー作による仮面のオブジェと、その撮影時に使用されたコスチューム。その数々の愛用品を手にし、身に着けて、ファンの熱狂を浴びたhideの姿があらためて蘇ってくるだろう。
さらには、現在製作中だという、hideの姿を忠実に再現した人形、hideリアルヒューマンドールも公開される。
また、トリビュートアルバム“SPIRITS”がシリーズ化され、その第一弾として、ナイトメアのギタリスト・柩、己龍、SCREW、ダウトなど、数々のアーティストがhideの楽曲をカバーした『hide TRIBUTE Ⅱ -Visual SPIRITS-』『hide TRIBUTE Ⅲ -Visual SPIRITS-』が2013年7月3日にリリースされる。
hideの存在を未来へ繋いでゆくプロジェクトが続々と登場する中、hideメモリアルデーに毎年催されてきたフィルムライブが、今年は<hide Memorial Day 2013『hide FILM ALIVE!!』-20th of solo works special edition->として開催された。昼夜2回公演で計2300人のファンがクラブチッタのフロアを埋め尽くす中で、初公開映像を含む特別編集フィルム『hide FILM ALIVE!!』がついに公開された。
まずは、松竹大船撮影所で行なわれた、1993年リリースの1stソロシングル「EYES LOVE YOU」のミュージックビデオ撮影風景から映し出される。純白のコスチュームなどビジュアルも鮮やかに、目の前の白い壁を拳で突き破り、深紅のギターを手にして舞い……。1人で全12ポーズのシーンを撮影、さらに「OBLAAT」のミュージックビデオも同時進行で撮影するハードな工程にも関わらず、楽曲の躍動感をその存在感やパフォーマンスを通して活き活きと表現してゆく。
さらに、撮影で使用するアコースティックギターを弾きながらX JAPANの「紅」を口ずさみ、いたずらっぽい笑顔を見せたりする姿も印象的だ。映像は、その「EYES LOVE YOU」でのソロデビューを発表する映像が放映された、原宿八角館ビル巨大画面アストロビジョン前の光景に続いてゆく。
当初は映像が4回上映される予定だったにも関わらず、約3000人のファン集結してパニック状態になり、hide本人によるパフォーマンスの予定もあったものの危険な状況と判断され上映1回で中止となってしまった当時の様子は、hideのソロデビューがいかに大きなトピックだったかをうかがわせる。
さらに全てのチケットは即日ソールドアウトし7万人を動員した初のソロツアー<hide FIRST SOLO TOUR '94 HIDE OUR PSYCHOMMUNITY ~hideの部屋へようこそ~>へと映像は続く。
X JAPANの盟友、PATAを含むバンドメンバー達とスタジオをともにしてリラックスした笑顔も見せた前日のリハーサルシーンを経て、自身初となるソロツアーの初日に臨む1994年3月16日・川口リリアホールで、開演前に客席に降りて会場全体の空気を感じているのか、その表情からは、スクリーン越しからも否応なしに緊張感が伝わってくる。
そして、ついに本番の時を迎え、エレベーターに乗ってステージへ歩を進め――。「PSYCHOMMUNITY」の勇壮な音色と熱狂的な歓声に包まれたステージに、「DICE」と「SCANNER」の爆音が響く。鋭い眼光で会場を臨み、ステージを威風堂々闊歩するhideに向かって、映像の中の川口リリアホールのファンだけでなく、会場のクラブチッタのファンも拳を突き上げる。
「僕の場合、ちょっと感情の起伏が激しいんで、曲によっては全っ然違う感情でやらせてもらいます。まぁまぁ、慣れないことも多い、今日だけど……。勝手にやるから、勝手にダンスしてって、ね!」hideらしい自由な雰囲気に満ちあふれたメッセージから続いたのは「50% & 50%」、「D.O.D.[DRINK OR DIE]」、「BLUE SKY COMPLEX」の3曲だ。
“眠らせてる隙に 炎を混ぜたキスをしよう――”。「50% & 50%」では歌詞に合わせて両手で投げキッスを贈り、「D.O.D.[DRINK OR DIE]」ではタイトルどおり酒瓶を手にしてバンドメンバーを紹介。
さらに、「BLUE SKY COMPLEX」ではPATAと並びギターをかき鳴らす、一挙手一投足に華のあるパフォーマンスに目が奪われる。
そしてライブは、さらに多彩にその風景を変えてゆく。ステージ中央へ歩を進め、ギターケースから取り出したアコースティックギターを爪弾いたのは「CRIME OF BREEN St.」。先ほどまでの嵐のような熱気を鎮めるかのごとく厳かな音色を奏で、アコースティックギターをケースに再びしまいステージを去ったかと思えば、激しく瞬く照明とともに「DOUBT」の大音響が再び炸裂する。
「悪い悪い! 一番好きな曲なのよね、“DOUBT”って。最初は歌詞が出てこなかったよ、ごめん(笑)。俺もまだまだだね」ちょっとだけ苦笑いを浮かべながらも楽しげな表情からは、この日のライブをhide自身が満喫している雰囲気が伝わってくる。
会場のファンにも笑顔が伝わっていく中で「OBLAAT」を披露し、さらに続いた「TELL ME」は、ミュージックビデオのシューティングをその場で敢行。クレーンに乗り、手をかざす超満員のファンへ笑顔を投げかけながら上空を舞う姿が、会場のハッピーな空気感をさらに高めてゆく。
「バイバイ! またやるから、狭い“部屋”だけど、遊びにおいで! 今日はありがとう……」T-REXのカバー「20th CENTURY BOY」とエンディングナンバー「PSYCOMMUNITY EXIT」の轟音で大迫力のフィニッシュを決め、記念すべき初ツアー初日のステージからファンへメッセージを贈るhide。
そして、1996年10月の2ndソロツアーから国立代々木競技場第一体育館での映像をフィーチャーした「POSE」や、ドラァグクイーンなど華美なダンサー陣がステージを彩った「Beaty & Stupid」、シングルカットもされた説明不用の名曲「ROCKET DIVE」、「ピンク スパイダー」、「ever free」……。歴代のライブシーンやアザーテイクによるミュージックビデオなど、“hide BEST”と銘打つにふさわしい曲達の映像が惜しげもなく披露された120分の宴は、オリジナルの映像に新たなカットが加えられた「EYES LOVE YOU~2013 EDIT~」でエンディングを飾り、映像を見終えた観客からは、hide存命当時のライブ同様の大きな拍手が贈られた。
今回のフィルムコンサートを含めた“hide ROCKET DIVE 2013-2014 20th of solo works & 50th of birth anniversary”は、ロックミュージカル『ピンク スパイダー 2014』や『hide ALIVE THE MOVIE(仮)』の開催も決定するなど、今後も様々なプロジェクトが発表される予定になっている。この世を去り15年が経っても各界から熱いリスペクトが送られるhideの雄姿を、全国のファンが様々な場所で多くの思い出とともにその手にするだろう。
<hide Memorial Day 2013『hide FILM ALIVE!!』-20th of solo works special edition->2013年5月2日(木) クラブチッタ
Prologue『EYES LOVE YOU』MV撮影原宿ソロデビュー発表イベントスタジオリハーサル
■1st solo tour 『HIDE OUR PSYCHOMMUNITY~hideの部屋へようこそ~』
1.PSYCHOMMUNITY
2.DICE
3.SCANNER
4.50%&50%
5.D.O.D.[DRINK OR DIE]
6.BLUE SKY COMPLEX
7.CRIME OF BREEN St(Instrumental)
8.DOUBT
9.OBLAAT
10.TELL ME※MV Shooting
11.20th CENTURY BOY※Cover
12.PSYCHOMMUNITY EXIT
■『hide BEST』
1.POSE
2.ROCKET DIVE
3.Beauty & Stupid
4.ピンク スパイダー
5.Hi-Ho
6.ever free
7.MISERY
8.TELL ME
9.EYES LOVE YOU~2013 EDIT~